どんな交渉でも成功する:フォーチュン50の交渉人からの10のアドバイス
Posted 18th June 2025 • Written by Dr. Ruth Gotian on forbes.com • • • • • •
交渉は、大きなビジネス取引や政治的合意だけのものではありません。実は日常生活の基本でもあります。友人との夕食場所を決めることから、昇給を勝ち取ることまで、私たちは常に何かを交渉しています。世界的に有名な交渉とボディランゲージの専門家であるグレッグ・ウィリアムズは、この重要な教訓を母親から学びました:「あなたの行動すべてが、次に起こることの枠組みを決める」。この考え方を理解することで、人との関わり方が根本から変わります。
グレッグは、フォーチュン50企業、政府機関、富裕層との交渉を数多く成功させてきた実績を持ち、交渉に関する著書も7冊執筆しています。以下に、彼が語る交渉術のベスト10をご紹介します。
印象の枠組みを整える
交渉は、テーブルに着くずっと前から始まっています。言葉はもちろん、身のこなしやボディランゲージも相手の印象に影響します。あなたは常に、状況の枠組みを作り、相手の認識を形作っているのです。自分が「勝者」に見えるか「愚痴っぽい人」に見えるかで、交渉の結果は大きく変わります。まずは自分自身を「必要不可欠な存在」に見せましょう。
お願いする前に自分の価値を示す
特に予算が凍結されているような環境で昇給を求める際には、事前に自分の価値をしっかりアピールすることが大切です。単に「予算がない」と言われて諦めるのではなく、他の方法で自分の貢献を示し、代替案を提示しましょう。別の資金源はないか?金銭以外で等価の価値があるものを交渉材料にできないか?と視点を変えてみてください。
徹底的なリサーチが鍵
相手が何を求めているのか、どんな制約があるのかを深く理解することが成功の鍵です。一部の企業では、重要人物について情報を集めるために探偵を雇うこともあるほどです。そこまでしなくても、イベントに参加したり、相手のボディランゲージややりとりを観察することで、たくさんの情報を得られます。真の意思決定者を見極め、その傾向を掴みましょう。
「おとり」の使い方
交渉では「レッド・ヘリング(おとり)」と呼ばれるテクニックがよく使われます。相手にとって魅力的に見えるが、自分にとってはそれほど重要でない項目を提示することで、本当に重要な部分から相手の注意を逸らすのです。
適切な相手と話す、でも長く話しすぎない
交渉の冒頭で、相手に決定権があるかを確認することが重要です。なければ、決裁権を持つ人と直接話すようにしましょう。また、交渉が長引くと、譲歩が増える傾向があります。交渉の途中にマイルストーンを設けて、自分が軌道を外れていないかを確認し、必要なら交渉を打ち切る判断も必要です。
ボディランゲージを観察する
人は言葉以上のことを非言語で伝えています。本当の気持ちはボディランゲージに現れます。たとえば、目尻にしわが寄るような本物の笑顔は、あなたの提案に対して前向きな反応を示しています。逆に、目が笑っていない場合は、あなたを譲歩させようとしているサインかもしれません。他にも、肩をすくめる=無関心、首を傾ける=興味あり、目を見開く=新しい情報を受け取っている、といったサインがあります。
沈黙とうなずきの力
沈黙は非常に強力な武器です。相手の言葉を繰り返し、それ以上は何も言わずに黙ることで、相手は沈黙を埋めようとして余計な情報を話してしまうことがあります。また、うなずきは、相手の同意を無意識のうちに促す効果もあります。
質問力を磨く
交渉では、質問する側が会話の主導権を握ります。質問には戦略的に答え、場合によっては逆に質問を返すことで、情報を引き出しつつ主導権を保てます。たとえば、「予算は1,500ドルしかない」と言われたら、「私の実績と価値をご存知の上でお声がけいただいたかと思いますが(うなずき)、なぜその予算で私にご連絡されたのでしょうか?」と問いかけるとよいでしょう。「もっと詳しく教えてください」といったオープンな質問も効果的です。
引き際を見極める
すべての交渉が自分の望む結果になるとは限りません。そこで重要なのが「引くべき時を知る」こと。自分のニーズが満たされない、または交渉が長引きすぎる場合は、一旦立ち止まって再評価しましょう。あらかじめ進捗の基準を設けておくと、冷静に判断しやすくなります。
使うべき言葉
対話を広げる言葉を選びましょう。たとえば、「ご予算はいくらですか?」ではなく「どのような投資が可能でしょうか?」と聞く方が、相手に選択肢を与えます。また、「聞き忘れていることはありますか?」といった質問をすることで、見落としていた重要な情報を引き出せることもあります。