リモートワークによって生産性は落ちていない
Posted 5th February 2021 • Written by Duncan Jefferies on theguardian.com • • • • •
働き方の新しいルール
パンデミックによって企業や従業員の働き方は大きく、おそらく良い方向に変わりました。
去年の3月より、多くの人々がオフィスの外で働くことで、個人の生産性が高まったとしています。
ServiceNow社のEMEAテクニカルサポートシニアディレクターのGlenn Hantonは、3月以来自宅勤務となった自分とそのチームの生産性を継続的に見守ってきました。
「最初に気づいたことは、全エリアでのテクニカルサポートメンバーの生産性が向上したことです。より多くの問い合わせ件数を受け、以前よりも早く終了するようになりました。顧客満足度のスコアもこれまでで一番高いものになりました」
自宅で仕事をすることが生産性を高めるという概念が、通常のオフィスの必要性をなくす可能性があります。Hantonはこの変化を歓迎しています。「わたしはいつも、どれだけ長くオフィスで過ごしたかではなく、どれだけの結果と価値を会社とチームにとって生み出したかを見てきました。アフターコロナでは、自宅勤務あるいは自宅とオフィスを組み合わせたハイブリッドな働き方がもっと増え、長時間オフィスで過ごすことがなくなるのではないかと期待しています」
多くの自宅勤務者が、自宅で働くことについて前向きに考えているという調査もあります。
カーディフ大の社会学の教授であるAlan Felstead,は、「今回の急激な自宅勤務への移行は、ビジネスにとっても従業員にとっても効果的なものだ」といいます。「多くの調査が、ロックダウン中にも生産性は低下しておらず、ソーシャルディスタンスが解除された後も変わらないであろうという結果を示しています」
自由がクリエイティビティを育てる
自宅で仕事をすることは、創造性や問題解決を向上させることでもあるようです。
オフィスでのブレーンストーミングなどの会議は確かに効果的なものですが、自宅勤務によってこれまでとは違ったクリエイティビティを発揮できるようになった人々も多いのです。
散歩したりシャワーを浴びたり、雑誌を見たりといった自宅ならではの行動によって、アイデアを思いつく機会が増えているようです。
メンバーのサポート
生産性の向上は喜ばしいことですが、スタッフがやる気をなくしてしまうことを防ぐことも重要です。Hantonは「仕事のモラルに関して定期的なアンケートを行い、一人一人をチェックしています」といいます。
1人暮らしの若手、ルームメイトと生活している人、子供やその他の家族のケアをしている人などにとって、これはとても重要なことです。Gartner社のチーフHRリサーチ チーフのBrian Kroppは、「多くの企業が、従業員の精神的な負担に気づき、それぞれの個人の環境を理解し、一人一人にあったサポートシステムを作ろうとしています」と語っています。
Hantonは旅行ができない現在、従業員は長期の休暇を取りにくくなっていると指摘しています。「どこに行く予定がなくてもまとまった休暇を取るように仕事から完全に離れ、家族と共に過ごす時間を作るようアドバイスしています」
テクノロジーによるチームワーク
現在のテクノロジーがなければ自宅勤務が成り立たなかったであろうことは容易に理解できることでしょう。必ずしも対面で話をしなくても仕事は進むものです。
ロックダウン以降、ServiceNow社では、デジタルなつながりが全社で世界レベルに広がり、これまで以上に多くのメンバーやリーダーを巻き込んだミーティングやコラボレーションが頻繁に行われるようになったそうです。
その反面、休憩時間やコーヒーマシンの前などでちょっとした立ち話をする機会がなくなり、思い付きの会話からアイデアが発展したりということができなくなってしまった今、他の従業員とのつながりを感じにくくなっている状況でもあります。「従業員のパフォーマンスを維持することはもちろんですが、皆が社会的・心理的なつながりを保つための方法を見出すことも企業にとっては重要です」と Kroppは述べています。
ワークライフバランス
Hantonは、個人の予定を組み込んだ1日を送ることができるようになり、自分も、自分のチームのワークライブバランスがより健康的なものになったと指摘します。子供の送り迎えや宿題を手伝うことができるようになり、通勤時間がなくなったことで時間の余裕も生まれています。よりよいワークライフバランスは、将来の働く環境を考える際にも必ず検討される項目となることでしょう。
「仕事やキャリアップのことだけしか頭になかった人々にとって、このパンデミックで、何が本当に重要なのか気づくきっかけになったのではないでしょうか」