リクルーターが「完璧なCV」を怪しむ理由
Posted 24th August 2026 • Written by Julia Korn on forbes.com • • • • • •
採用担当者にとって、優れた履歴書を見つけることは、かつて「貴重な掘り出し物を探し当てる」ような感覚でした。
履歴書には、レイアウトの乱れや独特な表現、タイプミス、句読点の間違いなどがあるのが普通でした。だからこそ、きれいに仕上げられた履歴書は本当に目立っていました。
それは、候補者の努力、細部への注意力、自分自身で文章を見直す力、そしてプロフェッショナルなコミュニケーション能力を反映していたからです。
しかし現在、生成AIの普及によって、ほぼすべての履歴書が一流のコピーライターによって書かれたかのように見え、誰もが「この仕事に完璧に合う人材」に見えるようになっています。
求職者の**70%がAIを使って履歴書をブラッシュアップしており、Z世代ではその割合がさらに高く85%**に達しています。
AIツールを使えば、ATS(Applicant Tracking System:応募者追跡システム)向けに最適化され、適切なキーワードが盛り込まれた、完璧にフォーマットされた履歴書を60秒以内に作成することも可能です。これにより、応募書類を作成するための手間の多くが省かれています。
こうした「最適化」へのプレッシャーが高まるのも当然です。
現在、Fortune 500企業の98%以上がATSを導入しているとされ、応募書類を人間が見る前にシステムが選別しています。
つまり、採用プロセスの次の段階に進む人を決める判断が、ますますソフトウェアによって行われているということです。
しかし、だからといって、応募書類そのものまで機械に作らせるべきだということにはなりません。
このような環境では、「完璧な履歴書」はもはや優秀さの証ではなく、採用担当者にとっての警戒サインになりつつあります。
文章の完璧さが当たり前になれば、洗練された履歴書は差別化要因としての力を失います。
ミスがなく、キーワードが最適化された履歴書は、以前のように「優秀な候補者」を意味するのではなく、「本人らしさがない」という印象を与え、採用担当者は目の前に現れる完璧すぎる応募書類に疑いを持つようになっています。
実際、約20%の採用担当者が、AIによって作成されたように見える履歴書やカバーレターを持つ候補者を、その時点で不採用にすると回答しています。
また、3分の1以上の採用担当者が、AIが作成したことを示す特徴を20秒以内に見抜けると回答しています。
求職者にとっても、採用担当者やHiring Managerにとっても、AIによって作られた応募書類があふれる現在の環境にどう対応すべきかは簡単ではありません。
ここでは、そのためのいくつかのポイントを紹介します。
求職者向け:「完璧」が落とし穴になる時代に、どう目立つか
履歴書を作成するときには、次の2つのルールを意識しましょう。
ルール1:戦略的に「完璧すぎない」ことと、自分らしい表現を大切にする
本当に人間が書いたような履歴書にしましょう。
チェックする方法は簡単です。
「この文章を、カジュアルなネットワーキングの場で実際に口にするだろうか?」
もし普段の会話では絶対に言わないような文章なら、履歴書にも書かないほうがよいでしょう。
ルール2:具体的な事実を盛り込み、一般的なキーワードや決まり文句を避ける
AIは、「チームの業務効率を改善した」のような、一般化された実績を書くのが得意です。
しかし、人間が知りたいのは、実際に何をしたのかという具体的な事実です。
例えば、
「オンボーディングメールの配信プロセスを再設計し、第3四半期のユーザー離脱率を19%削減した」
というような内容です。
こうした具体性こそが、本人が実際に経験した仕事であることを証明する最も強力な要素になります。
こうしたルールを実践することには意味があります。
現在、78%のHiring Managerが、個別具体的な情報は候補者の本当の関心や企業との適合性を示すと考えています。
つまり、最終的に採用を決めるのは、今でも「人間らしさ」なのです。
また、転職活動全体を通して、AIを使ってよい場面と、使うべきではない場面を明確に決めておくことも重要です。
例えば、以下のような使い方は問題ありません。
- レイアウトやフォーマットの調整
- 自分のメモをもとにした箇条書きのアイデア出し
- 自分で作成した履歴書にキーワードが適切に含まれているかの確認
一方で、以下のようになると一線を越えています。
- 存在しないストーリーや背景を作る
- 職歴の期間を実際より長く見せる
- 履歴書全体をゼロからAIに書かせる
簡単に言えば、
「面接で、履歴書のすべての箇条書きについて迷わず自分の言葉で説明できないのであれば、AIを使いすぎています。」
採用担当者・Hiring Managerはどう対応すべきか
一方で、採用担当者やHiring Managerにとっても、AI時代への対応は簡単ではありません。
もはや、「きれいに仕上がった履歴書=優秀な候補者」とは判断できません。
つまり、履歴書だけを最初に確認する従来型のスクリーニングは、優秀な候補者を見極める有効な指標ではなくなりつつあります。
AIによる「作り込み」や誇張を見抜くためには、いくつかの方法があります。
面接前に短いライティング課題を入れる
採用プロセスの早い段階に、人間による確認ができる簡単なステップを設ける方法です。
例えば、候補者自身の経験について短く回答してもらったり、行動特性に関する質問に答えてもらったりします。
その際、AIを使用しないよう明確に伝えることで、候補者が実際にどのように自分の経験を表現するのかを見ることができます。
「不自然なほどスムーズ」ではないかを見る
履歴書が求人票とあまりにも完璧に一致していて、文章のリズムまで不自然なほど整っており、キーワードも過剰なほど最適化されている場合は注意が必要です。
行動面接で深掘りする
面接では、プロジェクトが成功したという結果だけではなく、その過程でどのようなトレードオフがあり、どんな失敗を経験したのかを聞いてみましょう。
AIは成功事例をきれいに並べることには非常に長けています。
一方で、実際の経験に伴う複雑さや、うまくいかなかった部分を具体的に説明することは苦手です。
実際に経験した出来事を深掘りする行動面接の質問は、候補者の本当の実力を見極めるうえで役立ちます。
自動履歴書作成ツールと自動履歴書スクリーニングシステムの競争は、誰にとってもメリットのない「いたちごっこ」になっています。
ロボットが履歴書を書き、別のロボットがその履歴書を読む。
この状況から抜け出すために、採用担当者も候補者も、最も代替することのできないスキル――「人間であること」――にもう一度立ち返ることができるのです。