男性は女性よりも、現在の勤務先での給与交渉に「他社からのオファー」を利用する傾向が強い

Posted 27th August 2026 • Written by Rob Moss on personneltoday.com •

経済と未来の働き方を研究するベルリンの研究機関、Rockwool Foundation Berlinの研究者らは、女性も外部から転職の機会を提示された場合、男性とほぼ同じ割合で転職することを明らかにしました。

しかし、転職せず現在の会社に残った場合、女性の給与は上昇しませんでした。

スウェーデンのウプサラ大学、Peter Fredriksson教授が率いたこの研究では、その最も可能性の高い理由として、男女間の給与交渉行動の違いが挙げられています。

研究者らは、「男性は他社からの転職オファーを受けると賃金が上昇する一方、女性の賃金はほとんど変化しない。この違いは、同じ企業・同じ職種であっても男女間の賃金格差が残り続ける大きな要因となっている」と指摘しています。

研究チームは、データから確認された傾向を説明するためのモデルを構築。その結果、女性は、信頼できる外部からの転職機会が存在する場合でも、給与の再交渉を避ける傾向がある、あるいは交渉によって得られるメリットが男性より小さいなど、「交渉上のハードル(negotiation frictions)」がより大きい可能性が示されました。

つまり、転職オファーがあれば女性も男性と同じ程度に転職するものの、現在の会社に残る場合、そのオファーを給与交渉の材料として利用することは少ないということです。

一方、賃金がより固定的に設定されているブルーカラー労働者では、外部からの転職機会によって男女とも給与は上昇しませんでした。ただし、転職する可能性は高まり、その傾向はホワイトカラー労働者よりもさらに強く見られました。つまり、給与交渉の余地が限られている職種では、外部からの転職機会に対する男女の賃金反応の差はなくなることが分かりました。

また、男女ともに、より高い給与を提示する企業へ転職する可能性が高く、通勤時間が長くなる仕事は受け入れにくいことも明らかになりました。

この2つの要素を比較すると、女性がより長い通勤時間を受け入れるためには、男性の約1.5倍の給与上乗せ(wage premium)が必要でした。これは、女性のほうが勤務地に関する制約が強いことを示唆しています。

今回の研究は、EU加盟国が「Pay Transparency Directive(賃金透明性指令)」を各国の法律に取り入れ始める中で発表されたものです。現時点で法律を施行しているのはギリシャ、イタリア、リトアニア、マルタ、スロバキアの5か国にとどまり、多くの国ではまだ法案の段階です。

この指令では、企業に男女間の賃金格差の公表を求めるだけでなく、求人広告または初回面接前に、初任給または給与レンジを提示することも義務付けています。

研究者らは、外部の転職機会に関する情報を提供するだけでは、男女間の賃金格差を解消するには不十分だとしています。

女性も外部の転職機会を把握し、それを実際の転職につなげています。しかし、現在の雇用主とのより良い条件の交渉に、その転職機会を利用することは少ないのです。

研究チームは、外部からの転職機会が賃金上昇を左右する重要な役割を果たしていると結論づけています。

男性は転職オファーを利用して給与を引き上げる一方、女性は通常そうしない。

そして、この違いが、同じ仕事を続ける中で時間とともに生じる男女間の賃金格差の大きな部分を説明しているとしています。

今回の研究は、研究データが収集されたスウェーデンのような、男女平等が進んだ労働市場においても、給与を決めるプロセスそのものによって男女間の格差が拡大する可能性があることを示しています。

こうした格差を解消するためには、採用や転職先の選択だけでなく、すでに雇用されている人が、その後どのように給与を再交渉するのかにも目を向ける必要があります。

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