「仕事に満足している」社員の58%が、すでに転職活動を検討中――その理由とは
Posted 17th June 2026 • Written by Mark C. Perna on forbes.com • • • • • •
2026年6月17日掲載/Mark C. Perna(Forbes)
「仕事に満足している」ことだけでは、もはや社員を引き留める理由にはなりません。しかし、多くの企業はその変化に気づいていません。
退職する人を見ると、多くの場合、「給料や肩書きが大きく上がるから」あるいは「今の仕事に強い不満があったから」と考えがちです。
しかし、もし今の働き手は、そこまで強い理由がなくても転職を考えるようになっているとしたらどうでしょうか。
人事ソリューション企業isolvedが実施した最新の**「Voice of the Workforce」**調査によると、「十分満足できる仕事」に就いている人でも、多くが転職を検討していることが分かりました。
isolvedのタレントアクイジション部門プレジデント、ハイディ・バーネット氏は次のように説明しています。
「従業員の90%が仕事に満足していると回答し、82%は過去1年間で昇給を経験し、73%は仕事量は適切だと感じています。それにもかかわらず、58%は今後1年以内に新しい仕事へ応募する予定だと答えています。」
「停滞疲れ」が離職を招いている
バーネット氏は、この離職傾向の背景にあるのが**「停滞疲れ(stagnation fatigue)」**だと指摘します。
つまり、
社員は仕事が嫌だから辞めるのではなく、「成長が止まっている」と感じているから辞めるということです。
彼女はこう説明しています。
「仕事に居心地の良さを感じることと、やりがいや成長を感じることの間には、ますます大きなギャップが生まれています。」
ミレニアル世代を襲う「中堅キャリアの停滞」
最近、ウォール・ストリート・ジャーナルは、多くのミレニアル世代が経験している**「中堅キャリアの停滞(mid-career slump)」**を取り上げました。
これは、
- 5年以上、昇給や昇進がほとんどない
- キャリアが前に進んでいる実感が持てない
という状態です。
さらに近年は、中間管理職を削減する**「Great Flattening(組織のフラット化)」**が進み、昇進できるポストそのものが減っています。
こうした状況では、多くの人が将来への閉塞感を抱き、新たな機会を探し始めるのも無理はありません。
成功=安定、ではなくなった
バーネット氏によれば、今の社員は「安定」だけでキャリアの成功を測ってはいません。
彼らが求めているのは、
- 成長
- 学び
- 柔軟な働き方
- 前進している実感
です。
もし個人としても職業人としても成長していないと感じれば、今の仕事に不満がなくても、静かに転職先を探し始めます。
その結果、
表面的には満足しているように見えても、気持ちはすでに会社から離れ始めている社員
が増えているのです。
AI時代は「先手を打って転職する」人が増える
現在、AIの普及によって、
- 業務の進め方
- コミュニケーション
- 求められるスキル
が急速に変化しています。
そのため、
「取り残されるくらいなら、自分から新しい機会を探したい」
と考える人が増えているとバーネット氏は言います。
給与情報の透明化も転職を後押し
もう一つの要因は、給与や求人情報の透明性が高まっていることです。
2026年時点では、アメリカの約半数の州で給与開示制度が導入されるか、その法案が審議されています。
求人を見るだけで給与レンジが分かるようになり、
「もっと条件の良い会社がある」
と気付きやすくなりました。
実際、2026年版Voice of the Workforceでは、
59%が「より高い給与」が転職理由の第1位
と回答しています。
また最近の求人票は必要なスキルも具体的に書かれているため、
「自分でも応募できそうだ」
と思える人が増えているそうです。
「満足」と「忠誠心」は別物
仕事に満足している社員は、会社に忠誠心があるのでしょうか。
答えは必ずしもそうではありません。
バーネット氏は次のように説明します。
社員は、
- 給与に納得している
- 業務量が適切
- 同僚との関係が良い
という理由で満足することはあります。
しかし忠誠心は、それよりも深いものです。
社員は、
- 自分が大切にされている
- 継続的に評価されている
- 会社が自分の将来にも投資してくれている
と感じたときに、初めて会社への忠誠心を持つようになります。
忠誠心を生み出す5つの要素
バーネット氏は、社員の忠誠心を育てるには次のような環境が必要だと述べています。
1. 柔軟な働き方
柔軟性は、「会社が社員を信頼している」というメッセージになります。
2. 高い透明性
仕事内容や企業文化、キャリアパス、日々の業務内容について、採用前から正直に伝えることが重要です。
3. キャリア開発
優秀な社員ほど、自分の将来が見える環境を求めています。
4. ウェルビーイングへの支援
仕事だけでなく、心身の健康や生活面も支援する企業ほど、社員との信頼関係を築きやすくなります。
5. 優れたリーダーシップ
社員に仕事を任せて信頼すれば、社員も経営陣を信頼するようになります。
忠誠心は「当然得られるもの」ではない
以前は、
「給料を払っているのだから社員は会社に忠実であるべきだ」
という考え方もありました。
しかし現在では、
忠誠心は企業と社員がお互いに築くもの
という考え方へ変わっています。
社員は、
「自分が会社に時間や努力を投資するのと同じように、会社も自分へ投資してくれているか」
を見ています。
転職すれば本当に幸せになれるのか?
では、「そこそこ満足していた会社」を辞めた人は、その後どう感じているのでしょうか。
調査では、
入社から1年未満の社員の87%が、すでに別の仕事へ応募していた
ことが分かりました。
これは、
悪い会社から逃げたというより、
- 曖昧な仕事内容
- 不十分なオンボーディング
- 成長機会の不足
- 非効率な仕組み
- 企業文化とのミスマッチ
といった、多くの職場に共通する問題に再び直面している可能性を示しています。
忠誠心は、小さな失望の積み重ねで失われる
企業は景気や採用環境を理由に、
- 福利厚生を縮小する
- 柔軟な働き方を減らす
ことがあります。
しかし社員は、その変化をしっかり見ています。
特に若い世代は、
福利厚生や柔軟性、ウェルビーイング支援を「おまけ」ではなく、給与と同じくらい重要な報酬だと考えています。
また、
「ワークライフバランスを大切にすると言いながら、長時間労働する社員ばかり評価する」
といった企業の矛盾は、社員の信頼を急速に失わせます。
バーネット氏は、
「忠誠心は、一度の大きな出来事ではなく、小さな不満が積み重なることで失われることが多い。」
と述べています。
「そこそこ良い会社」を「働き続けたい会社」にするには
給与は依然として重要ですが、それだけでは十分ではありません。
今の社員が毎日自問しているのは、
- 自分は尊重されているか。
- 成長を後押ししてもらえているか。
- 経営陣を信頼できるか。
- 自分の仕事に意味や前進している実感があるか。
ということです。
完璧な会社は存在しません。
しかし、不安定な経済状況の中でも、社員は企業に対して
- 成長の機会
- 情報の透明性
- 自分への継続的な投資
を期待しています。
バーネット氏は最後にこう締めくくっています。
「この違いを理解できる企業こそが、長期的な社員の忠誠心を築くことができるでしょう。」
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